映画「コーラス」を観た
※ネタバレ含みます。考察もなんもない。ただ感想を垂れ流すだけ。
「歌はいいね、歌は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ」
まさにこんな感想がでてくるような映画だった。
90分程の映画だったのでどんな展開でどんなラストなのかなと期待して観た。オススメされたのもあるが、私は2時間未満の作品に期待する節がある。
理由は、90分が見やすい所にある。場がもたつかずポンポンとテンポよく運ばれていくので見ていて飽きない。決してテンポが悪いとかモヤモヤと後を引きずるものが悪いとかいうことではなく、なんとなく気分よく終わりたい時や、頭を空っぽにして映画を観たいときは90分のそれを観たいなという自分勝手な理由からだ。(あとは個人的に好きに90分映画にハズレたことがない。これは運なのか。)
●感想●
冒頭に述べたとおり歌が素晴らしかった。
不良少年が合唱で素行や言動が改まっていくというシンプルなものかと思えば、またその歌を教える大人たちも何かを学び、思いを抱いていく物語だった。
歌は少しがさついていて、しかし少年たちの心の奥が透明であることを証明するような美声が混ざっていて完璧でない思春期独特の脆さを含んだ素晴らしいものだった。実際に合唱の音源は、合唱団と演者の歌声をミックスさせたものらしい。
●私のお気に入りシーン●
①最初に"音楽"を教えるシーン
少年たちが手で机を叩いてリズムをとっているシーンはなんだかリアルだった。実際、音楽に関わりのない人(音楽をあまり聞いたことがない人)はリズムが取れない。
小学生の頃カンボジアの小さな学校へ行ったことがある。そこで手拍子でリズムを一緒にとりながら歌を歌うということをしたのだが、そこでは一定のリズム(タン・タン・タン・・・)ができない子たちがいた。
その経験も手伝ってあのシーンにはリアルさがあった。これから人間の生み出した素晴らしい文化に触れる希望と今まで弾圧されてきた少年たちの悲しみがつまっていた。
②ラスト、大人になった美少年の語り
音楽教師が解雇され、バス停への小道、こんなナレーションが流れる。
(彼はその後も名声など追い求めず、彼の小さな夢を追い求めた)
夢破れた落ちこぼれ音楽家ではあったが、彼は最後まで"教師"であった。
彼の小さな夢はその後も人々を幸せにしただろう。
幸せの体積なんてゼロに近い。どんなに小さくても幸せになれるのである。